初めて見た顔

　優輝は最近、言葉も増えてきたし、嫌なものははっきりと言うし、だんだん、自分というものを持ってきたようだ。
特に、なんでも、「いやいや」いうには、ちょっと困りものだ。先日当たりからあんなに膝に乗って喜んでくれていた電動車いすでの散歩にも、嫌ということもあって、ちょっと寂しい・・・。

ところで、今朝、近所の女の子に入学祝いを渡したときのことだった。
優輝がそれを見ていて、自分も・・・という仕草を見せた直後、それは自分のものではないとわかったのだろうか？
何とも言えない、悲しそうな顔をした。今まで、怒って泣く顔はしょっちゅう見ていて、わざと怒らせておもしろがることもあるのだが、悲しそうな顔はそれが初めてだった。その顔を見た瞬間、こっちも何とも言えない気持ちになった。こんな気持ちも初めてだった。これも１つの親心か？
息子の笑顔は、自分も元気にしてくれるが、逆に悲しそうな顔もこれほど自分の気持ちに影響を及ぼすのかと思った。
　その後、いつもの号泣で、そんなしんみりした気分は吹き飛んでしまった。