釜トンネルという車１台が通る細いトンネルを抜けると風景が一変する。そのことを母から事前に聞いていたのでトンネルを出る瞬間は息を凝らした。トンネルを抜けると、焼岳や穂高が眼前に見える。やっぱり雪の残った山を見ると何か感動するものだ。しばらく行くと、有名な大正池が左に見える。昔の写真を見ていたせいか、思ったより池に立っている木が少ない。そこから見える焼岳はよかった。昔はその木も多くてもっと幻想的だったのだろう。しばらく行くと木製の遊歩道が目に付く。どこまで続いているのだろうか？切れていなければ車椅子でもかなりの距離散策出来るのにと思いながらその歩道を目で追っていた。
ターミナルで下車して、まずは梓川のほとりに行った。川の流れの音が気持ちいい。水もとても澄んでいて、水量も多く、こんなきれいな流れを見るのははじめてかも知れない。そんな流れの先を見ると、穂高をバックに有名な河童橋がある。その構図はさすがにいいものだ。河童橋も渡ってみた。下流を見ると正面に焼岳、上流を見ると正面に穂高。どちらもいつまで見ていても飽きない風景だった。私は河童橋を渡りきって右に降りたところでしばらく穂高の山を眺めていた。もっと、時間があれば弁当を持ってきて１日でも佇んでいたいところだ。大正池の方にもあの遊歩道を通って行ってみたいし・・・。
梓川から穂高連峰を見たところです。僕の一番のお気に入りの場所。
河童橋から見た焼岳
上高地からの帰りも大変だった。沢渡行きのバスに乗るのも長蛇の列で２時間以上待たないといけなかった。その間、わわさんが列んでいて下さったおかげで私は人より多く散策を楽しめた。ありがとうございます。
車椅子での場合、身障者用のトイレは今回見あたらなかったが、近くにはホテルもあったのでそんなところを利用できるかも知れない。河童橋付近は砂利道で車椅子ではちょっと動きにくかった。河童橋はスロープになっていて問題なく渡ることができる。
帰りに駐車場で身障者マークのついたワゴンを見かけた。もしかすると身障者だというと中まで車で入れるのかも知れないと思ったが、どうかわからない。
その夜のホテルは長野市にあるメトロポリタン長野。ホテルに着いたのはもう９時を回っていた。途中、夕食を高速のＳＡでとった。そこの名前がびっくりするほど信じられない名前だ。「姨捨（おばすて）」。何度、読み仮名を確認しただろう。わわさんから無線での連絡でそれらしい名前を聞いていたのだが、この目で見るまでは信じられなかった。きっと昔、ここに捨てられたのだろう。ところが、ここからは長野市が一望でき、夜は夜景が美しく、今や若者のデートスポットになっているという。でも、こんなところに置いてけぼりにされたお年寄りは、いつまでも市内の自宅が見えて、未練が残って大変だっただろうと思った。
ちなみにここもＳＡだけあって車椅子でも、夜景の見れるところまで楽に行ける。最後にわわさんの子供さん達に「ＴＡＫＡＫＩさーん、夜景がきれいだよ！」と呼びに来てもらって、その夜景のよく見えるロケーションまで案内してもらい、とてもうれしかった。せっかくやっと子供さん達と仲良くなれたのに、ホテルでお別れだった。