上高地に行く道は梓川沿いの一本しかない。さすがにゴールデンウィークだけあって渋滞がすごかった。でも、道路沿いにある幾つかのダムやその周辺の山の景色を見ているとそれほど渋滞も苦痛ではない。上高地に向かうバス乗り場の沢渡駐車場も車でいっぱいだった。明日はここからバスに乗るんだなぁと思いながら通り過ごした。少し時間を経て渋滞の源を通過した。そこが上高地の入り口だった。釜トンネルという車１台しか通らない狭いトンネルがあり、そこは交互通行になっているために渋滞が起こるようだ。一般車両はそこへは進入できないが、そこへはいるバスやタクシーがそこで待つために、それと一緒に一般車両も待たなくてはならない。
そこを通過すると目的の新平湯温泉まではあっと言う間だった。途中、新しいトンネルがあると思ったら、翌日の説明で分かったことだが、それはできたばかりの安房トンネルだそうだ。それまでは峠を越えて１時間もかかっていたそうだが、ものの５分足らずで向こう側に出られた。トンネルを抜けて振り返るとそこには格好良い姿の山がそびえていた。何という山だろうと料金所の方に訪ねると、笠ヶ岳だと教えて下さった。槍に似ていたので、槍かと期待していたら・・・・。実は昔、母が槍に登ったことがあり、ことあるごとにその時の話を聞かされるので、この機会に一目見たいと思っていた。槍ヶ岳はそう簡単には見られないようだ。
その日宿泊する旅館にはそこから１０分足らずで着いた。「鄙の館 松乃井」。到着は６時ごろだった。
旅館は車椅子の人にも優しかった。旅館にも何台か車椅子が用意してあるそうだ。私が自分の車椅子に乗るとすぐに旅館の方が迎えに来て下さり、玄関でタイヤを拭き、なれた手つきでロビーに案内して下さった。
部屋はバストイレ付きのところにして下さっていて、これと言って困ることはなかった。少人数の時は自室で食事も取るのだそうだ。私たちは弟一家と、わわさん一家の３家族だったので広間で一緒の食事となった。食事の前に大浴場で温泉に入った。温泉は中学校の修学旅行以来。かすかに硫黄のにおいがして、気持ちよかった。露天風呂にもすぐに出られるのだが、わわさんが万が一そこにいたら・・・と思い、やめておく。(^_~)。実際、混浴だったのかどうかは不明！ところで、大浴場、旅館の人に車椅子でも入って良いか聞いたら、あまりいい返事をもらえなかった。私の場合、その必要もなかったので強く聞かなかったのだが、作りは脱衣所、洗い場ともに広くて、車椅子でも容易に入れるところだった。どうしてもという場合、頼んだらもしかしたらＯＫかもしれない。ただ、他の人にはあまり良い感じを与えないかも知れない。
夕食は豪勢なものだった。特に飛騨牛は霜降りでもうちょっと食べたいほどだった。他、山菜の天ぷら、鮎の塩焼きといったいかにも山の料理というものだった。が、気持ち程度に海の魚の刺身が出たのにはちょっとおかしかった。
その夜、本当はわわさんとラウンジで・・・とメールで話していたのだが部屋に戻ると、ものすごい睡魔におそわれてそれどころではなく、すぐに寝入ってしまった。
翌日は７時半に同じところで朝食。朝からほおば焼きが出た。あんな豪華な朝食ははじめてだった。